「東亜通信 第11号」東亜通信を発信しました

■日越大学 2020年9月「学部」開設へ

「円借款転貸」問題解決 フエ副首相が武部会長に明言
201912131ベトナムのブオン・ディン・フエ副首相は11月18日、ハノイ市で、武部勤・東亜総研代表理事会長と会談=写真は左から武部会長、フエ副首相=し、日越大学の円借款転貸(円借款の一部の債務を大学が負担する)・特別財政措置の問題に解決の目処がついたと明言しました。ベトナムは財政収支が慢性的赤字であることに加え、インフラ整備のため巨額の政府開発援助(ODA)融資を受けてきたこともあって、増加する公的債務残高を抑える措置がとられ、これが日越大学の円借款転貸などへも影響を与えていました。財政担当のフエ副首相は関係閣僚会議を開催し、10%の転貸率で基本的な了解をとったうえで、これを武部会長との会談で伝えました。
これまで武部会長はグエン・スアン・フック首相らベトナム政府首脳と会談した際、安倍晋三首相の親書を示しながら、日越大学の学部開設などに向けて円滑な財政措置をとるように協力を要請してきました。

「日本学」専攻の学部生100人を募集
201912132この問題が解決したことにより、日越大学の来年9月の学部開設が確実になりました。これまでの大学院(修士課程)に加え、学部を整えることで日越大学は総合大学としての道を本格的に歩むことになります。初年度は「日本学」の専攻で学部生100人を募集する予定で、キャンパスの設置場所などの具体的な検討に入ります。
フエ副首相との会談後、武部会長はファム・ミン・チン越日友好議連会長とも会談=写真は左からチン会長、武部会長、梅田邦夫駐ベトナム大使=し、日越大学の学部開設に向けての協力を求めました。11月20日にはホーチミン市で日越大学構想の最初のベトナム側カンターパートであるチュオン・タン・サン元国家主席とも会談し、将来にわたる相互協力を確認しました。

■武部会長訪越報告(11月17日~22日)

ベトナム北部のクアンニン省と北海道の交流推進で一致
武部会長は11月17日ら同22日の間、ベトナムのハノイ市、ホーチミン市、クアンニン省を訪問しました。武部会長と会談したチュオン・タン・サン元国家主席とグエン・ヴァン・タム・クアンニン省人民委員会委員長は9月15、16両日に札幌市で開催した「ベトナムフェスティバルin札幌」に出席しました。グエン・ヴァン・タム委員長とはクアンニン省がベトナム北部に位置することから北海道との交流を推進させることで一致しました。
・11月17日夜、ハノイ市でJICA主催夕食会。
・11月18日午前、FPT大学で講演と名誉教授授与式。
・11月18日午後、ブオン・ディン・フエ副首相と会談。ファム・ミン・チン越日友好議連会長と会談。
・11月18日夜、ファム・ミン・チン会長主催の夕食会。
・11月20日午前、ホーチミン市でチュオン・タン・サン元国家主席と会談、昼食会。
・11月20日午後、レ・クアン・ロン ホーチミン市外務事務所長と会談。
・11月20日夜、ホーチミン総領事公邸で夕食会。
・11月21日午後、クアンニン省のクアンエン町で交流会。グエン・ヴァン・タム クアンニン省人民委員会委員長と会談。
・11月21日夜、グエン・ヴァン・タム委員長主催の夕食会。

■日越大学 第3期インターンシップ来日記念交流会レセプション

武部会長「アジア・アフリカの留学生を迎えて世界水準の研究大学に」
201912133武部勤会長は11月5日、東京都千代田区のホテルで開催された日越大学第3期インターンシップ来日記念交流会レセプション(JICA主催)で乾杯の挨拶=写真=し、「日越大学は来年9月に学部開設を目指しています。3期生には(ベトナム以外の)ミャンマーとナイジェリアからの初の留学生がいます。今年9月に入学した4期生にはアジア・アフリカ8カ国から計14人の留学生を迎えて、世界水準の研究大学に変貌しつつあります。アジア・アフリカのハーバード大学となる気概をもって取り組んでいきたい」と述べました。来賓の武部新・日越友好議連事務局次長は「世界に人材を輩出する大学を目指すという目的を実現するため、二階俊博・日越友好議連会長を先頭に協力していきたい」と挨拶しました。
201912133-2レセプションではこのほかに古田元夫・日越大学学長、ヴー・ホン・ナム駐日ベトナム大使、越川和彦JICA副理事長が挨拶し、今年9月から日本でインターンシップをしている日越大学第3期生67人ら約200人が出席しました=写真。日越大学は3期生が79人、今年9月に入学した4期生が91人、このうちミャンマー5人、ナイジェリア3人、日本、ロシア、フィリピン、スリランカ、ラオス、コンゴ各1人の留学生が在籍しています。

学生代表 チーさん「気候変動のメカニズムを研究して社会貢献を」
201912135学生を代表してチャン・フエン・チーさんは「気候変動・開発プログラムで二酸化炭素(CO2)排出量が気候変動に与える影響などを学んでいます。受け入れ先は茨城大学です。先日の台風19号で被災した方々にお見舞いを申し上げるとともに、高気温環境における樹木の役割など気候変動のメカニズムを研究して社会に貢献したい」と語りました。
卒業生のグエン・アイン・ハオさん(横浜国立大学博士課程在籍)は「日本の技術や文化の発展は日本人の考え方や働き方がベースになっています。日本でのインターンシップは自己発展、自分磨きの期間なので大いに活用してください」とインターシップで来日した3期生にエールを送りました=写真はインターン生と意見交換する武部会長。

■武部会長 FPT大学から名誉教授の学位を授与

「地球村時代の気概を持とう」をテーマに講演
201912136武部会長は11月18日、ハノイ市で、FPT大学のグエン・カク・タイン学長から名誉教授の学位を授与されました=写真は記念撮影。授与式に先立ち、日本語を学ぶ学生を前に「地球村時代の気概を持とう」をテーマに講演し、「グローバル時代に入り、地球が小さくなっている。自国のアイデンティティを大切にするとともに、地球村の一員であるという気概を持って美しい地球を守っていってほしい」と話しました。
FPT大学はベトナム初の私立大学として2006年に誕生したIT技術系大学。現在、ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市に3キャンパスがあり、学部生6000人、大学院生300人、教員980人、職員680人の総合大学です。ベトナム最大手のFPTソフトウェアの親会社、FPTコーポレーションが創立、日系企業から講師を招くなどして技術者を養成しています。FPTの名は「Corporation for Financing and Promoting Technology」に由来しており、卒業生は日系企業にも就職しています。東亜総研はFPTジャパンと業務提携するため覚書を締結します。
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