設立趣意書

大きく変動しながら急速に一体化が進む世界にあって、私たちは、いま、歴史的な転換期を迎えています。

その最も顕著な地域である東アジアは、世界の成長センターとして目覚しい経済発展を遂げる一方で、格差や貧困、疾病、自然災害、環境問題など、直ちに解決することや避けることが困難な諸課題に直面しています。同時に、それらに起因する社会不安や過度のナショナリズムの高まりが、地域の安定と平和を脅かすとの懸念もあります。

幸いわが国は、戦後の奇跡的な経済成長を実現した優れた人材育成の土壌と、勤勉で誠実な国民性を有し、経済力もなお世界のトップレベルに伍して遜色がありません。

いまこそ、世界の平和と東アジアの安定を図り、東アジアの成長を日本の成長とするためにも、日本の持てる力を発揮すべきときと考えます。

東亜総研の役割は第一に、東アジア並びに関連する諸国や地域に対し、対話を促進するための信頼関係を構築することにあります。対話は、信頼関係があってはじめて実を結ぶからです。

第二の役割は、対話の中から政治・経済・外交・安全保障など各般にわたり、いま必要なこと、未来にとって必要なことを探り出し、価値観とビジョンの共有を求めつつ、調査研究・情報収集・分析評価を行うことです。

第三の役割は、必要なものを具体化するためにコンサルティングを行い、人材の育成・交流、投資や技術の紹介・斡旋などの事業を推進することです。

食料・水・環境・資源・エネルギー・教育・文化・科学技術・医療・健康・福祉・雇用・企業経営・社会資本整備など、その分野は広く、そして深く、困難を伴うかもしれません。しかし、東アジアが一つになれば、それらの問題解決は決して不可能ではない、それだけの力を持っている、ということです。

具体的な草の根レベルでの相互交流は、関連する各国政府および民間諸団体をはじめとする人と人との相互理解を促進し、互いを思いやる協和の精神を高め、東アジアの民生向上と経済発展に寄与し、もって国と国との友好関係を強化し、ひいては世界の平和と繁栄に貢献できるものと確信します。

皆様のご賛同とご協力をお願い申し上げます。

平成25年 6月吉日
公益財団法人東亜総研
設立発起人代表 武部 勤