「東亜通信 第13号」東亜通信を発信しました

■武部会長が「グローバル人材共生会議の設置」を提言

自民党外国人労働者等特別委で日本の国柄と戦略的課題を講演
2020031公益財団法人「東亜総研」の武部勤代表理事会長は2月28日、自民党本部で開催された同党政務調査会外国人労働者等特別委員会(委員長・片山さつき参院議員)で、「グローバル人材共生の青写真――日本の国柄と外国人受け入れの戦略的課題」をテーマに講演しました=写真右から2人目が武部会長、3人目が片山委員長。武部会長は冒頭、「日本の国柄を守り、日本人の国際性を高め、共生共存のアジア新時代をめざすべきだ。日本を学び、日本で働きたいと希望するアジアの人材を幅広く受け入れ、共に活躍できるグローバル人材共生社会の環境整備を急ぐべきである」との持論を展開し、「グローバル人材共生は人手不足を補う外国人労働力とは根本的に異なり、同等かつ重要な就労者であり、消費、納税、社会保障負担の責任を有する生活者である」と強調しました。
武部会長は、悪徳ブローカーや心ない監理団体・受け入れ企業などによる人権侵害事案も発生し、社会問題を惹起している現状を踏まえ、「技能実習1号、2号の3年間は基礎的人材育成期間として最も重要である。現行の特定技能制度の見直しは、技能実習制度の経験と長所を活かした抜本的制度改革を行うべきである」と語り、技能実習制度を基盤に特定技能制度との統合を図るべきとの考えを示しました。最後に「外国人就労システムを定着させるため、国や都道府県のブランド力、市町村との地域密着力、民間の機動力、そして専門家など産官学ワンチームによるグローバル人材共生会議を全国主要拠点に設置すべきである」と提言しました。

ベトナム人のトゥーユンさん 「実習の恩義 恋する日本で生かしたい」
2020032特別委員会には、東亜総研スタッフとして実習生をサポートしているベトナム人のチャン・ティ・トゥーユンさん=写真前方の左から2人目=が補助説明者として出席し、「2016年1月に技能実習生として日本に来て、北海道標津町の水産加工会社で3年間実習しました。いつの間にか、(世話をしてくれた)会社のみんなが、私の二つ目の家族になりました。この恩義を受けた私が、どうやって返したら良いのだろうかとずっと考えました。私は日本に恋しています。日本で自分の経験を生かしたい、自分の力を発揮したいと思っています。だからこそ、この仕事を選びました。ベトナムの若い人が青い空に向かって進むことができるように毎日、仕事を頑張ります」と日本語でしっかりと訴えました。

■「オリンピックイヤー東亜総研新春特別フォーラム」を開催 

武部会長 「地球村時代へ-国際修学旅行交流の推進を」で基調講演
2020033東亜総研は2月7日、東京都内のホテルで、「オリンピックイヤー東亜総研新春特別フォーラム」を開催しました。武部会長と松浪健四郎・学校法人日本体育大学理事長が講師となり、基調講演を行いました。
 冒頭、中国遼寧省開原市から日本を訪れた修学旅行生の様子がビデオで上映されました。これに続き、武部会長は「地球村時代へ-国際修学旅行交流の推進を」のテーマで基調講演を行いました=写真。日中修学旅行交流推進は2018年10月、安倍晋三首相が訪中時に李克強首相との間で2019年を日中青少年交流推進年とすることで合意。それを受けて昨年5月に認定事業として開原市から第1次修学旅行生を迎え、自民党本部で二階俊博幹事長を表敬し「長く交流できる一番若い賓客」と歓迎されました。同7、8月に第2次、3次の修学旅行生を迎え、令和元年の記念すべき日中交流幕開け事業として進められました。今年2月、中国から約400人の修学旅行生を受け入れる準備をしていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による中国政府の渡航禁令のため中止になりました。
こうした経緯を説明しながら、武部会長は「国際修学旅行交流は、世界や地球のあるべき未来に向けて、そのインフラづくりであり、強力に推進すべき課題である」と語りました。そのうえで「日中間に限らず、地球村の未来を託すべき青少年の総合交流、とりわけ国際修学旅行が、異なる環境文化の中で視野を広げ、国際性を高め、それぞれの国柄や魅力に触れ、相互理解と友好発展に寄与し、世界平和に貢献することを確信する」と述べ、財団法人「国際修学旅行推進機構」(仮称)の設立を提案しました。

松浪健四郎・日体大理事長 「オリンピックレガシー」で基調講演
 2020034松浪理事長は「オリンピックレガシー」と題して基調講演を行いました=写真。松浪理事長はローマ時代のコロッセウム(フラウィウス円形闘技場)がレガシー(遺産)として現在のイタリアの首都ローマを代表する観光地になっていることに言及。さらに明治時代に欧米から入ってきたキリスト教的な規律を根底とする「健全なる身体に健全なる精神が宿る」との格言は日本の体育思想と結びついたが、障害を持つ人の精神はどうなのかと疑問視せざるを得ないと語り、格言の出典とされるローマ時代の風刺詩人デキムス・ユニウス・ユウェナリスの本来の意味は「(文化的退廃の進むローマにおいて)健全なる身体に健全なる精神が宿ってほしい」との願いであると説明しました。松浪理事長は1964年の東京五輪は三波春夫の昭和歌謡「東京五輪音頭」とともに高速道路や建築物などの建設ラッシュで都市景観の近代化が進み、高度成長期のシンボルとなったと指摘しました。一方、2020年の東京五輪・パラリンピックについて「(高度成長期のような)レガシーは何も期待できない。日本の平均寿命は世界一だが、健康寿命は10歳ぐらい短く(シンガポールに次いで)世界2位である。まずは健康寿命をレガシーとすべきだ。次に、五輪とパラリンピックを同等にすることだ。パラリンピック人材や障害者との共生社会を実現することもレガシーにすべきである」と強調しました。
松浪理事長は日本体育大学に入学した後、米国州立東ミシガン大学教育学部に留学、日本大学大学院で博士課程単位取得。1996年衆議院議員に初当選し、2006年文部科学大臣に就任。2011年から日本体育大学理事長を務め、スポーツ振興に取り組んできました。

■武部会長訪越報告(2月20日~24日)

フォンHCM委員長らとJVFの延期と年内開催で合意
2020035武部会長は2月20日から同24日までの間、ベトナムのホーチミン市(HCM)、ハノイ市を訪問しました。武部会長はグエン・タイン・フォンHCM人民委員会委員長=写真右から2人目がフォン委員長、チュオン・タン・サン元国家主席とそれぞれ会談し、新型コロナウイルス感染拡大の影響でベトナム政府が大型イベントを相次いで中止・延期していることを尊重し、同21、22日に開催予定だった第7回ジャパン・ベトナム・フェスティバル(JVF)を延期し年内に開催することで合意しました。
一方、武部会長は2月に退任する梅田邦夫・駐ベトナム大使と河上淳一・在ホーチミン総領事がそれぞれ主催する夕食会に出席して労をねぎらいました。梅田大使は2016年10月より3年4カ月にわたり大使を務め、夕食会には日本と親交の深いトー・フイ・ルア越日友好協会会長、ファム・ミン・チン越日友好議連会長らも出席し、今後の日越友好を確認しました。

ベトナム序列4位のヴオン党書記常務と初会談し日越大学の理解を得る
2020036 武部会長はベトナムで序列4位のチャン・クオック・ヴオン党中央書記局常務と初めて会談しました=写真左はヴオン氏。ヴオン党書記常務は「アジアのハーバード大学を目指して日越大学を一緒に発展させましょう」と日越大学に理解を示しました。

・2月21日午前、ホーチミン市でグエン・タイン・フォン同市人民委員会委員長と会談。
・2月21日午後、チュオン・タン・サン元国家主席と会談。
・2月21日夜、河上淳一・在ホーチミン日本国総領事主催夕食会
・2月23日夜、ハノイ市で梅田邦夫・駐ベトナム日本国特命全権大使主催夕食会。トー・フイ・ルア越日友好協会会長、ファム・ミン・チン越日友好議連会長ら出席。
・2月24日午前、グエン・ゴック・ティエン観光相と会談。
・2月24日午後、チャン・クオック・ヴオン党中央書記局常務と会談
・2月24日夜、JICA主催夕食会

■新ベトナム大使に山田滝雄・前ユネスコ代表部大使を任命

2020037 日本政府は2月7日の閣議で、駐ベトナム日本国特命全権大使に国連教育科学文化機関(ユネスコ)代表部大使を務める山田滝雄氏を任命しました=写真。
 山田氏は1959年生まれ、大阪府出身。1983年に外務省入省。2010~2012年にASEAN担当大使および日本政府代表部大使、2014年から外務省南部アジア部長、2015年10月から外務省国際協力局長、2017年10月からユネスコ代表部大使を務めました。