1.技能実習生受入れ事業
(1)内容
当財団は、平成27年4月、法務大臣告示により外国人技能実習生受入れ監理団体となり、同年5月にベトナムから最初の実習生を迎えています。同年7月には実習生受入れを促進するため、ベトナム労働省・傷病兵・社会問題省外国労働者管理局と「技能実習生受入れに関する覚書」を締結し、特に農業分野などの制度の見直しへの取組みを続けています。その後、27年6名、28年29名を受入れ、29年は、9月1日現在で既に入国済みの実習生が78名、これに面接済みの35名を合わせると、30年3月末で受入れ人数は115名となります。
28年11月、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が公布、29年11月1日より施行となりました。当財団においても新法移行により必要とされる許可申請を8月14日に行い、29年12月20日、所謂“優良監理団体”と称される有効期間5年の一般監理事業における許可を法務大臣・厚生労働大臣より受けることができました。
(2)平成29年度の取組み
一方で、当財団としましては、本事業の更なる拡大と展開を目指して、29年度におきましては、次のような取組みを行いました。
29年4月にVNFU(ベトナム農民協会)のモン会長が来日された際には、
小清水農協の実習生4名とテレビ電話で面談いたしました。
入国時講習はトークス共育センターと連携するなど、関係機関と連動することで効率的な事業実施の仕組み化を進めていくこととしています。
北海道においては、実習生の技能検定試験対応・日本語能力試験受験のサポート(29年7月、N2、2名合格)、カーリングやボーリング等のレクリエーションを通じて受入れ企業社員の皆さん、同地区実習生、また地域社会との交流を行う機会をアレンジしています。
2.定例セミナー・特別フォーラムの開催
これまでアジア各国の駐日大使によるご講演が主でありましたが、概ね一巡しましたので今年度は各界の専門家をお招きし、当財団設立趣旨を体現する特色あるセミナーを開催し、幅広い人的交流の機会を提供しました。平成29年度の開催実績は以下の通りです。
第一部 ベトナム・エスハイ社 社長 レ・ロンソン氏
「ベトナム人材の利活用について」
第二部 一般財団法人東亜総研 代表理事・会長 武部勤
「日越大学構想について」
元ベトナム駐箚特命全権大使 坂場三男氏
「ベトナムの光と陰―すべての省・市を行脚して見えてきたもの」
元ベトナム・インドネシア駐箚特命全権大使 谷﨑泰明氏
「最近の東南アジア情勢と日本・アセアン関係」
元モンゴル駐箚特命全権大使 清水武則氏
「苦悩する資源大国モンゴルと日本」
第一部 衆議院議員・前厚生労働大臣 塩崎恭久氏
基調講演「日本の近未来ビジョン」
第二部 衆議院議員・防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官 福田達夫氏
衆議院議員・環境大臣政務官兼内閣府大臣政務官 武部新氏
作家・政治史研究家 瀧澤中氏
パネルディスカッション「政治は未来にどう応えるのか」
作家・政治史研究家 瀧澤中氏
「『歴史失敗学のすすめ』~過去から何を学ぶべきか~」
第一部講演 衆議院議員・自民党政務調査会長 岸田文雄氏
「どうなるか2018年、世界と日本」
第二部講演 東洋大学教授 横江公美氏
「どうなるトランプのアメリカ」
3.日越大学構想の推進
日越友好議員連盟の特別顧問でもある会長武部勤は、「日越友好議員連盟」(会長:二階俊博自民党幹事長)及び「日越大学推進議員懇話会」(会長:河村建夫元文部科学大臣)と連動し、わが国安倍内閣及びグエン・スアン・フック首相他ベトナム要人に精力的に働きかけてまいりました。その結果、平成27年12月には内閣官房に「日越大学に関する関係省庁会議」(議長:和泉洋人内閣総理大臣補佐官)及び「日本側推進委員会」(委員長:越村敏昭東急電鉄相談役)が設置され、平成28年9月9日に大学院修士課程が開校し、開講式が行われました。同年12月8日(木)には、日越大学特別講演が開催され、会長武部勤が日本・ベトナム友好議員連盟特別顧問として特別講演を実施しました。
平成29年6月にはグエン・スアン・フック首相が日越大学を訪問、武部会長も同行しました。9月9日には、第2期生の入学式が開催され、武部会長は祝辞の中で入学生らに大きな期待を託しました。また、日越両国半数ずつで構成される日越大学理事会の理事に武部会長が就任し、同年11月13日、1月12日にハノイにて行われた理事会に出席しました。
日越大学は実質的に、自主的な運営を開始する段階となりました。残る円借款転貸問題の早期決着については、自民党日越大学推進議員懇話会開催を含め、今後も勢力的に対応して参ります。
同年11月には日越大学修士課程プログラムの第1期生がインターン実施のため来日し、開催されたレセプションではグエン・クオック・クオン駐日ベトナム大使、国会議員の方々や日本政府の方にもご参加いただきました。
日越大学構想実現に当初より助言協力してきた当財団としては、武部会長の日越大学理事就任により、当財団への使命と存在感がより大きくなったことを認識しました。
当財団では、第2期となるJICAより受託の、日越大学構想国内支援事務局業務(平成29年4月~平成31年3月)を順調に軌道にのせることができ、有識者会議、分科会等に係る調整及び運営支援、日本での普及・広報活動に従事しました。
4.「第5回Japan Vietnam Festival」の開催
第5回ジャパン ベトナム フェスティバルは開催時期を従来の11月より1月に変更し、日越外交関係樹立45周年を迎える幕開けイベントとして、平成30年1月27日・28日の日程でベトナムのホーチミン市で開催しました。 今回も、日本側実行委員長を武部会長が務めました。
前回より「日越共同開催」の意識がより一層強くなり、ベトナム側の積極的な協力参加をいただきました。また、特別来賓としてチュオン・タン・サンベトナム前国家主席をはじめ、ご来賓には林幹雄自民党幹事長代理や中根一幸外務副大臣、両国大使である梅田駐ベトナム大使とクオン駐日ベトナム大使など「特別顧問」「常任委員」「委員」のメンバーに、政財界をはじめ芸術・文化・スポーツなど多大なるご協力のもとに「官民一体」イベントとして、遂行することができました。
27日にはベトナムがサッカーU23アジアカップ決勝進出を果たし、国を挙げて大変な盛り上がりを見せてくれました。
経済交流、文化交流、スポーツ交流や省庁後援の連携イベント、ブース出展、ステージイベント、ぼんおどりの交流などで、18万人以上の参加者を得られ大盛況のうちに終了いたしました。
歴史を重ねることで毎年、交流の内容や認知度が向上し日本への期待感、好印象が高まっていることが実感できました。
5.幅広い日越交流の拡大に貢献
(1)北海道知事の特別顧問として同行
平成29年8月7日、当財団武部会長は高橋はるみ北海道知事一行に同行し、グェン・チー・ズン ベトナム政府 計画・投資大臣との覚書署名式に参列。特別顧問としてベトナム―札幌の直行便就航当等について助言。事業の具体化に協力しました。
またベトナム共産党政治局員のファン・ミン・チン越日友好議連会長と梅田大使の協力を得て、北海道とクァンニン省の幹部との意見交換会をセットしました。今後の北海道・クァンニン省の関係発展が期待されるところです。
(2)ハノイ新潟情報交換会で講演
平成30年1月22日、ハノイ工科大学で開催されたハノイ・新潟情報交換会に武部会長が講師として出席、ハノイ工科大学と長岡技術科学大学や国際大学等との技術協力・人材協力について、覚書を交わしました。
(3)VNFUとの覚書締結と農業に関する協力
3年前の東亜総研とVNFU(ベトナム農民協会)との覚書締結により、東亜総研はベトナムの「食と農と村づくり」についての貢献と協力を約束しました。28年度、29年度のジャパンベトナムフェスティバルにおいては、JICAと共催で「農業経営セミナー」を開催しました。また、VNFUの訪日団をサポートし、日本の先進的農業や農業人材教育について具体的に橋渡しを行いました。
(4)北海道ベトナム交流協会への協力
平成29年4月8日から9日の日程でグエン・チー・ズン ベトナム投資・計画大臣一行13名が来道されました。4月8日には高橋はるみ知事との面談、その後の歓迎レセプションには道内自治体・企業・団体関係者60名が出席しました。翌日には「北海道・ベトナム意見交換会」が開催され、道内企業・団体関係者からは北海道・ベトナム間の直行便就航の要望・ベトナム側からはクアンチ省への投資の提案が出され、積極的な意見交換がなされました。
平成29年7月14日、「北海道ベトナム交流協会総会・セミナー」が開催されました。 セミナーでは駐日ベトナム大使グエン・クオック・クオン氏による「ベトナムの最新情報と今後のベトナム日本関係の展望」の他、ベトナム送出し機関エスハイ社のレ・ロンソン社長、(有)釧路フィッシュの平野社長にも「ベトナム人技能実習生受入れの実際」について講演いただきました。セミナー後のレセプションには北海道の政治・経済・学術関係者100名が参加し交流を深めました。北海道とベトナムの相互理解と友好協力関係を深め、北海道の活性化と共に、可能性に富んだベトナムの未来に貢献することを目的とし、その実現のために活動を行うことを目指し、北海道に12支部を設立することになりました。
支部第一号として、平成29年9月20日、「北海道ベトナム交流協会旭川」が設立し、総会・祝賀会を開催いたしました。旭川支部では民間企業主体によるベトナム国クアンニン省との経済交流が盛んになる中、「北海道ベトナム交流協会旭川」の設立を機に友好協力の促進を更に進める機運が高まったようです。
また、平成30年2月15日、「北海道ベトナム交流協会札幌」が設立しました。
総会・レセプションを通して札幌市の経済をけん引する経済人が一堂に会しまし、和やかな交流会となりました。今後、各支部でも交流協会設立の準備は進んでおり、平成30年4月6日には「北海道ベトナム交流協会宗谷」が設立されました。
武部会長によれば、日越外交関係樹立45周年の本年度中に北海道内10地区の支部設立を検討しているとのことです。
6.モンゴル国との経済・文化交流の促進
(1)北海道モンゴル経済交流促進調査会モンゴルミッション
平成29年9月10日から14日の日程で、武部勤調査会会長、経済産業省、北海道、札幌市、民間企業等日本から27名が参加しました。武部会長はバットトルガ大統領、エンフボルト国会議長、労働大臣等モンゴル国政府要人訪問、会談を行いました。11日のモンゴル国外務省ホールにて開催したビジネスフォーラム・ビジネスマッチングを通じて、モンゴル建築士協会と日本都市設計(社長:武部幸紀氏)間で「モンゴル人建築士育成」に関する覚書(MOU)が締結されました。
大統領選後のモンゴル国訪問で、日本とモンゴルの新しい関係構築に貢献し、具体的ビジネスマッチングが始まることの契機とすることができました。
(2)平成29年度北海道モンゴル経済交流促進調査会
及び「北海道モンゴルビジネスフォーラム」の開催
平成29年2月4日から8日の日程にて北海道モンゴル経済交流促進調査会と「北海道ビジネスフォーラム」が開催されました。2月5日の雪まつりの開会式には両調査会会長の武部勤氏・ボルドー氏とバッチジャルガル臨時大使が参列されました。
6日のビジネスフォーラムには両調査会会長の武部勤、ボルドー氏のほか、経済産業省、北海道、札幌市、民間企業等日本側101名、モンゴル側19名の総勢120名の参加となりました。武部勤・ボルドー両会長立会いの下、北海道建設新聞社(荒木正義社長)とモンゴルニュースペーパー報道会社(ボルギルマー副社長)が、「経済・ビジネス情報発信プロジェクト」に関する覚書(MOU)を締結。7日のモンゴル側調査会による企業視察では大野記念病院、ニチロ畜産加工工場、横山製粉(株)等7社を訪問、受講しました。
7.旅行業
当財団は平成28年8月、第3種旅行業者として東京都に登録し、MICE(Meetings, Incentive t our, Convention, Exhibition)事業に特化した、受注型企画旅行及び手配旅行を取り扱っています。また手配の確実性を証するため、第1種旅行業者2社(近畿日本ツーリスト株式会社・株式会社トッパントラベルサービス)と旅行業務における協力支援体制を確立し、連携しつつ事業を行っています。
29年度には、一般社団法人漁港漁場新技術研究会のベトナム国における漁港技術海外交流調査、松浪評議員を団長とする日越大学訪問とJVF視察を、近畿日本ツーリストと共にプロデュースいたしました。
8.調査研究
我が国政策金融機関であるところの国際協力銀行(JBIC)からの調査委託事業を間接受託をしました。当財団は約2年間に渡るJBICとの交渉により、調査業務における強みを発揮できるベトナム国の金融経済財政制度等の調査事業受託(契約当事者は共にベトナム法人とすることの合意獲得含め)を実現したものです。当財団は、事業スキームの構築及び調査支援並びに日本語成果物のネイティブチェックを担い、次年度も同条件・同内容にて契約更新を確定させることができました。
9.普及啓発・情報提供
コンテンツ事業・広報事業等を行う株式会社MANTANと業務提携し、MANTANが展開するMAiDiGiTVの動画説明記事を、サイト「sukiTV」にてベトナム語・英語・繁字体に翻訳し、日本最大級のエンタメニュース動画海外発信に貢献、草の根レベルでの国際的文化交流の一翼を担いました。当該サイトは平成28年からFacebookページも展開し、タイ・ベトナム中心に61,000人以上のフォロワー獲得(28年4月現在。うち52,000人がベトナム人)しています。
また在日ベトナム人成功事例紹介動画制作の総合プロデュースを行い、29年10月、ゴールデンタイムに30分番組2本を、ベトナム国営テレビ(VTV)で放映することが実現しました。当該番組では単に成功談に焦点を当てるだけではなく、失敗事例や苦労話を明るく面白く織り込み、日本での留学・就職・技能実習生を考えるベトナム人に、日本に渡る前に備えるべき、真に必要な価値ある情報の提供を制作理念とし、今後のシリーズ化に向け始動中です。
10.公益法人移行準備
平成29年9月、内閣府に対し公益認定申請を提出しました。公益認定等委員会事務局からの膨大かつ微に入り細に渡る質疑に対する詳細説明・修正及び補正指示に応じ資料類再作成及び関係書類等追加提出を重ねた結果、30年4月、公益認定等委員会内答申委員会での審査を通過することができました。
5月下旬には認定書が交付されます。効力発生日は6月1日といたしました。
当初、13種の公益目的事業を掲げておりましたが、数か月間の折衝を重ねる中で、早期認定を第一に考えるならば事業再編は必須との判断から、公益目的事業3種、収益事業5種の事業構成としました。
6月より晴れて公益財団法人東亜総研となります。
11.相談・助言事業
本年においては、主に次の通りの事案に対応しました。
12.その他の関連活動
昨年8月9日、武部会長は、ベトナム共産党内で行政及び公務員改革に取り組んでいる中央組織員会の委員などに対して、『自民党長期政権は、なぜ可能だったか』と題する講演を行いました。党や政府幹部ら20人程度が聴講し、在越日本国大使館からは梅田特命全権大使・永井公使をはじめとする方々からのご出席をいただきました。
同年10月12日には長年にわたる日越間交流の活動に精力的に取り組んできたとこなどの実績から長岡技術科学大学より名誉博士記を授与されました。また、同日には同校で「ベトナムの将来性と日本の人材育成協力」と題し、講演しました。
詳しい内容、その他の事業に関しましては、当財団Webページwww.toasoken.asiaにも随時掲載しておりますので、是非ご覧ください。
以上、引き続き当財団に対するご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。