東亜総研月例セミナー報告-平成26年7月17日(木)

平成26年7月17日(木)第7回月例セミナーを開催しました。講師は、駐日フィリピン共和国 特命全権大使 マヌエル・モレノ・ロペス閣下、「フィリピン共和国と日本の戦略的パートナーシップの構築」と題してご講演をいただきました。

講演に先立ち、武部勤代表理事・会長が、フィリピンの国民的英雄であるホセ・リサール博士の「私達がどこからやってきたのか知らないものは、決して目的地にもたどり着けないだろう」という言葉を紹介、「私たち日本人としても、フィリピンに限らず、アジアの国々の歴史や文化を営んでこられた人々のご苦労、悲しみ、喜びといったものを正確に理解し、アジアの平和と安定が世界の繁栄につながる、そのことを原点にする必要がある」と開会の挨拶を行いました。

講演ではまず、フィリピンで発生した災害に対する日本からの支援について触れ、「駐日大使になり3年経ったが、着任した2011年はちょうど東日本大震災の前だった。2013年の第4四半期、フィリピン中央に大きな被害をもたらしたマグニチュード7.2の大地震と、台風ヨランダ(ハイアン、台風30号)に対する日本の政府や国民からいただいた金品等の支援について、大変ありがたかったことを御礼申し上げたい。」と述べられました。

駐日フィリピン共和国 特命全権大使 マヌエル・モレノ・ロペス閣下

駐日フィリピン共和国 特命全権大使 マヌエル・モレノ・ロペス閣下

「日本の官民セクターを両方合わせて1億1,300万ドルを拠出していただき、国際緊急援助隊、JICA専門家、自衛隊の方々も緊急支援に来てくれた。特に感激したのは、フィリピン大使館に絶え間なく、来訪者が弔問に来て下さったこと」とし、6歳の児童が大使館に来て、貯めたお小遣い5千円を寄付したエピソードなどが披露され、「今回の経験を機に、日本・フィリピン両国の戦略的・協力的立場をまさに強化した事例」だと、述懐されました。

また、日本とフィリピン両国の500年もの人的・物的交流の歴史や、外交関係樹立から58年間経過し、両国関係が良好に成熟してきたことを述べた後、「両国の戦略的パートナーシップは、アジア太平洋の世紀といわれる今世紀において、両国の利益と願望を実現する上で役立つだろう。我々が共有する価値観である、民主主義の遵守、人権の尊重、良い隣国関係に基づき、私たち二国間関係は、地域の平和と繁栄を構築する上で、さらに前向きで肯定的なものとなった。そして将来においても、同じように発展していくだろう」と講演を締めくくられました。

次いで、会場からの「最近の日本企業の進出状況について」という質問に、「全部で1,000社くらい進出しており、最近では中小企業も増えている。今後は、移民という形での流出を防ぐためにも、特に雇用を創出する製造業などが進出してもらえればありがたい」と回答されました。

講演終了後、村田吉隆東亜総研評議員会議長から、「フィリピンに行くたびに、フィリピンの皆さんはとても明るいと感じる。もっとフィリピンに投資して、フィリピン人が海外に出稼ぎに行かなくてもよいような国になることが、大使閣下や国民も望んでいるということなので、私自身もぜひとも投資してほしいと思っている」と謝辞を述べ閉会しました。

⇒講演録の全文はコチラ 第7回月例セミナー講演録